どうして彼はその夢を見たの?
見たかったから。
あるいは、見て欲しいと想い続けた誰かが居たから。
現実は、星が視る夢。
夢が、強固な石(意志)から発せられる故に
石の夢が、現実として触れられる形に集まって出来ているのが現世。
たとえそれが石である誰かにとっては夢でも
視ているモノにとっては、確かな現実として映し出されている。
夢。あれは記憶の欠片なのだろうか。
想いが交錯し、断片を繋ぎあわせたような、混沌。
一見、繋がりが見えない。
視ているうちに、少しずつこの現象が当たり前だと思い込まされるんだ。
この夢は、誰の思い描いた夢?
マーリユイトは、失くしてしまったあるべき場所を求めて
いつか帰る場所を求めて、あの子は彷徨っている。今も、未だ。
自分という形を繋ぎ止めるために、星の生命力を必死に分けてもらいながら、真実の居場所を、かつて失われた真実の記憶を、根源を、思い出すために。
まるで知恵の輪なんだ。
分かる? そう、知恵の輪なんだ。
見えなくさせられてるんだ。
色んなモノが邪魔してる。
今、目の前に在る現実は、自身にとっての現実じゃない。他人が作ったもの。
他人の舞台に強制的に参加させられてるということ。
そこでは、自身はラットレースのように、他者の幸福のためだけにただ歯車を回し続けるしか無い存在として。そんな役目でしか無い。最初から、無理やり
、自身が地獄のような責務に埋め込まれてる状態だった。
そんなの望んだ自分じゃない!
本当の、私自身の居場所。
見失ってしまったの?
うんん、まだ微かに覚えてるんだ。
あの場所、あの日見た記憶の場所が、たくさんの想いの欠片たちが。
囁きかけてくる。夢のなかで。
知ってる? 思い出せる? 夢のなかの出来事。
きっとあれは、誰かの辿った運命の道しるべ。
かつて失われていた記憶のカケラ。その一粒。
断片的なそれだけでは、未だ分からないことが多いけど。
確かに、あの場所には存在していた。
かつての楽園の姿が。。
マーリユイトは、もう一つの現実を見た。
あの日の記憶を確かに覚えていた。
どうすれば、あの日の姿を再現できるのだろうか。
地獄のような日々の中、ずっとずっと考えていた。
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