生まれ変わりたい思い

死に体は、生まれ変わりたいの思い。
死して次は、何になれる?

その身体を行き着く先を見る。
死に直面して、やっと理解する。
自分の亡骸を食べてくれる存在たちのこと。

 
土に還るとはこういうことか。
還る場所があるとはこういうことか。

 

そして気づくんだ。
現実的な意味で今、還れる場所は、存在してないって。
生前の家は、死者の還れない場所。地に足がついてないから、庭も埋める場所もない。
居場所がない、死霊になって彷徨うしか無い。その想いすら墓石で蓋するか…

みんな、死んだ後のこと見てなかったんだね。
先祖供養とか口先だけだね。無駄だらけ。

 
だから、大切な場所を平気で破壊できてたんだね。
土をコンクリ詰め。乱立するビル群。
生活のためとか言いながら、永遠の死に向かう愚かな墓標たち。
 

死んで気づくとは情けない。
ついに存在ごと消え失せようとしている。

ああ。輪廻の輪から外れてしまったんだ。
プラスティックの檻、何も存在しない場所で時間が止められてしまった。

真に孤独とはこのことか。
もう動けない、変化もない。死してそのまま時だけ過ぎる。
 
 
誰がその場所から救い出せるというのだろう。
永い永い時の狭間を、彷徨い続けねばならぬよう。

辺り一面、赤茶けた土地が。
どこかで見た灰色の情景が、脳裏に焼き付いている。

小さな虫たちが、見えないところで頑張っている。
永遠の墓標が、積年の想いによって崩れ去る瞬間を、死者の嘆きよ。


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