白蛇と龍の生き血

神聖なる泉にて。
その泉の前に、力を求めるものが居た。

彼は力を願った。
白蛇にそのお願いを託していた。
すると白蛇は泉の中に潜り、龍の姿になって現れたではないか。

人の背丈より少し大きいくらいの龍の姿。それは言った。
我の生き血を吸うが良い。さすれば我の力をその身に宿すであろう。
そう言った龍の瞳には悪意、明らかに別の意図を宿していた。
彼自身の心の奥に宿していた悪意が、龍の姿となって現れていたようにも思えた。

血を吸え。まるで吸血鬼のようだと思った。
これはもしや、龍の力に乗っ取られるということのか・・・
その血を吸えば、膨大な力を得る代わりに龍の力に支配されてしまうのだろう。

 
白蛇とは龍の映し身であったのだろうか?
聖なる存在ではあったと思うが、まるで泉のように。
その者の性質を映す鏡のような存在だったのだろうか。

白蛇が滅多に姿を表さないのは、常に何かを映し続けているからかもしれない。
純粋な白として現れるのは稀なのか。何かを暗示しているかのようだった。


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