時をかける夢

時をまたぐお使いをしてた。
3日後の、これを、1日前のここへ運ぶ。
それによって、多くの連鎖が起こっていく。

あるべきはずのものが、ない。
ないはずのものが、ある。

ささやかなお使いが、時空の歪みを生んだ。

 
蝶の羽ばたきが竜巻となるように。

あるべきはずのものがないこと
ないはずのものがあること

全ての存在に、様々な不具合が起こってしまう。
たった一手、理に外れた何か、その一手を、この星に存在する全ての者に、矯正させてしまう。例えば、1人5秒の一手が、×全ての人口の数だけ、そして全ての星の数だけ、徒労を余儀なくさせる。

表層では、よかれと思ってしたことだ。
忘れ物を届けよう、未来の人を過去で助けよう。

こうして、理を乱せば乱すほど、その連鎖が桁違いの重みとなって自分たちに跳ね返ってくる。

 
彼、もしくは彼女は、一時期、民を救った英雄となった。
彼女たちが英雄となって願ったのは、死という足かせから民を解放することだった。
しかし、その後、重大な反作用により苦しむこととなる。

世界から、死という概念が無くなってしまったんだ。
これは、健常な間は望ましいことなのかもしれないが、

つまり、全てがプラスティックのセカイに成るのだ。
例え、全生命力を消耗しきって、生きるのがただの苦しみでしかなくなったとしても
永遠に、安息の死が訪れない。

RPGのステータス画面で見れば。
死、からの回復など許されず
HP0、もしくは0.1のまま、常にプレイしなければならない。

そう、表層ではよかれと思ったことも、実際に芯の部分にまでいけば、それは呪いだったとわかる。

これは、後になって明らかになる。

 
その結果を目の当たりにした、元英雄である彼女たちの
なんとも悲痛な叫びよ….

 
今、この世は地獄。
氷山に閉じこもる彼女の嘆きは、
今生きている、全ての子たちの嘆きが、形になったもの。

願わくばすべての生命に、安息の地を。
望まれた生を終えた後、平等に安らかな死を…


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