夜の蝶
夜はとても音が響く。
きこえるきこえる、木の葉の散る音。
そこでは仄かなアカリが視界を遮る。
暗闇。僅かな光のブレが、脳裏に焼き付く。
ああ、だから。
夜のネオンは、繊細な夜の情景を見えなくさせてるんだ。
代わりに、分かりやすい綺羅びやかさで視界を遮る。
明るければ、怖くない? うんん、其処には何もない。
だから、灯りを消すのです。
静かに。耳を澄ませてみる。
繊細な夜の移ろい。
細やかな闇の情景。
星の灯り、木立ちの鼓動。
死者の幻霊、植物たちの囁き。
夜の蝶、虫のさざめき。
小さな音が聞こえる。
感情の波は捨てる。
暗がりの中でただ其処に居る。
聞こえてくる。
私は、人里から離れた夜の森の、本当の姿を知って。
真っ暗闇で何も見えなかった頃の、情景を思い出しました。
都会の裏山は、まだ明るすぎるのです。
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