木の音、木の言葉
木は、私たち人間から見て我慢強く見える。
何をやっても動かないし、何をやっても黙ってるようにみえる。
私たちは、種族間を超えた音のやりとりを忘れてしまったが故
木は物言わぬものとして、認識していたのだろうか。
夜明け前、散歩に出かけてお気に入りの木々と話してきた。
確かに人間の言葉は話さないが、木々の根が地面を伝い、風を呼び、木の葉をざわめかせ
雨のしずくの滴る音で返事をしてくれたのを、私は聞いた。
木は、人の言葉を認識している。
そして、木は、人に比べて時間の流れがゆっくりだ。
木の脈動は、人間のそれよりもゆったりしている。
だから、私たち人間から見て、それは我慢強く見えるし、
忙しい人から見たら、木は全く動かないようにも見える。
実際は、時間の流れ方がお互いに違うだけだ。
同じ時を生きていて、感じてる流れが異なっている。
だから、人と木は、お互いに見ている場所が違う。
木の視点では、人の時間はあまりに早すぎて、あまりに儚い。
それは軽く息を吹きかければ、すぐさま何処かへ飛び去ってしまうほど軽い。
人の一生は、木の何十分の一、何百分の一なのだ。
だからもし、木とお話するならば。
覚えておくといいかもしれない。
できるだけリズムを合わせるのだ。
忙しい日常から一時でも離れ、木の呼吸のリズムに合わせる。
ゆっくりとした時間の流れを感じ、静かに低い声で、やさしく語りかける。
すると、木は聞き取りやすい。
種族間の違いがあっても、言葉は通じる。
言葉は音。想いを乗せて運ぶもの。
純粋な意図をもって、クリアに響かせれば
きっと誰にでも通じるだろう。
伝えたい、心の底からそう思うのだ。
そうすれば、相手に合わせることが自然と出来るようになる。
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