ノートパソコンの選び方 3原則
(2019.10.27執筆)
DTM用のPCを買い換えるに辺り、比較ポイントをまとめてみました。この記事はDTMだけでなく、大半のPC選びで参考になると思われます。
2019年の記事ですが、CPUやメモリ、ハードディスクの性能は、今現在の基準に置き換えて読み取ってみてください。
まず原則。パソコンの性能の見るべきポイントは主に3つ。優先する順に
- CPU...中核となる計算処理スピード
- メモリ...一度に計算できるデータ量
- ハードディスク容量...内部に保存しておけるデータ量
一番ポイントになるCPUから解説
CPUについて
CPU性能が高いほど、高音質なサウンドを余裕を持って処理できたり、高機能なプラグインを多用できます。(その分、消費電力も上がります) 型番がいくつもあって訳わからんですが、GHzの数字とコア数を見れば、CPU性能はだいたい把握できます。またはGHzやコア数が不明の場合、CPU型番で見分けるしかありませんが、型番からどの年代の、どのグレードか? だいたい判ります。
参考 ⇒ Intel Coreシリーズ「i3 / i5 / i7」世代一覧と性能差まとめ
CPUの見分け方(年代について)
以下を比較すると「2017年製(core第7世代)」と「2018年(core第8世代)以降」では、大きく性能の開きがあることが伺えます。 各所でおすすめされてるThinkPad XシリーズのCPU性能を2017〜2019年製で比べてみる。パソコン製品名 | CPU型番(目安) | コア数 | 1コアの処理能力 | BOOST処理能力 | キャッシュ | 消費電力 |
ThinkPad x280 (2018年製) |
core i5-8365U | 4コア8スレッド | 1.70 GHz | 4.10 GHz | 6M | 15w |
ThinkPad x270 (2017年製) |
core i5-7300U | 2コア4スレッド | 2.60 GHz | 3.50 GHz | 4M | 15w |
ついでにMacbook Pro 13インチのCPU性能も比較しておきます。
パソコン製品名 | CPU型番(目安) | コア数 | 1コアの処理能力 | BOOST処理能力 | キャッシュ | 消費電力 |
Macbook Pro 13インチ(2018) | core i5-8259U | 4コア8スレッド | 2.30 GHz | 3.80 GHz | 6M | 28w |
Macbook Pro 13インチ(2017) | core i5-7360U | 2コア4スレッド | 2.30 GHz | 3.60 GHz | 4M | 15w |
2017年製と2018年製以降の大きな変化は、
coreが2倍
その分1core辺りの性能を落として
総合的に、処理性能は1.3倍くらいに増えている!
さらにキャッシュ(処理途中の一時データ)の保存容量も増えてる。
このCPUはノートパソコンに固定で後から変更利かないので、どれを選ぶかはCPUで比較するのが基本かと。
ちなみに第8世代から第10世代くらいにかけては大きく性能の変化がないので、値段とかも考えると、
CPUは第8世代辺りが狙い目なんじゃないかなと思います。
平常時の省電力性をとるなら、2コア最終形の第7世代もいいかなって思います。
見分け方は、core i5 8000番台とかだったら8世代。
これが core i5 7000番台だったら7世代。
後ろの数字が9000番台なら9世代
10000台なら10世代です。
次にグレードについて
グレードは、i3とか、i5とか、i7とか大きく3つあります。これは、まぁそのままグレードです。数字が大きいほど高性能です。
標準的にはi5が基本性能。
i7は、一段上に優れている。
i3は、グレードが下。
さらに下になるとCeleron(廉価版CPU)とかあるけど、これはネット・動画閲覧とかワード・エクセル程度しか使わない人向け。事務作業で十分な人、子供用には、安い2、3万くらいのPCでもいいよ。 次項の初期設定・OSクリーンインストールだけでも大きく性能化けるから。
それ以前に、しっかり創作用のPCで選ぶならi5かi7クラスをおすすめです。
CPU型番 | コア数 | 1コアの処理能力 | BOOST処理能力 | キャッシュ | 参考価格 | 消費電力 |
core i7-8550U | 4コア8スレッド | 1.80 GHz | 4.00 GHz | 8M | 409$ | 15w |
core i5-8365U | 4コア8スレッド | 1.60 GHz | 4.10 GHz | 6M | 297$ | 15w |
core i7-7600U | 2コア4スレッド | 2.80 GHz | 3.90 GHz | 4M | 393$ | 15w |
core i5-7300U | 2コア4スレッド | 2.60 GHz | 3.50 GHz | 3M | 281$ | 15w |
i5とi7では値段の差が大きいので、型落ちのi7よりは、一つ新しいi5の方がお手頃。
すると総合的なCPUの性能は、なかなかいい感じのものを選べると思います。
CPUの重要性
CPUを重視するのは、各楽器の同時発音数とか、オーディオで書き出す際の処理時間。 それからリヴァーブ効果(空間残響の効果)や各種エフェクトをどれくらい余裕で扱えるか。エフェクトも演算処理でCPU消費する。 あとは物理モデリング音源、主にはSWAMバイオリンとか、CPU演算でリアルな音を作っていくような特殊音源を、どれくらいのトラック数挿せるか。。SWAMを1トラック挿すと、だいたい1coreの1.6GHz分くらい処理を持ってかれる。 スムーズな動作のためにCPU消費は6割くらいに抑えたいんで、 第8世代のIntel Core i5(13インチノート)で2つ、ギリギリ3トラック使えるかどうか。(とはいえ、SWAMみたいな音源は1曲に1トラックで十分だろうとも思うけど...)
まぁ、2011年製のMacbook Air13インチ(2コア 1.7GHzのCPU)程度でも、DAW初期音源や内蔵エフェクトは余裕で動くんですよね。10トラックで2割くらいのCPU消費量。
2018年製のPCは2倍近く処理性能上がるし、ひとまずCPU性能はそこそこで十分ではないかな>?と思われます。
PCサイズと、CPUの性能比較
補足です。一般的にPCが大きくなればなるほど積み込めるCPUも高性能なものになります。同じメーカーの13インチと15インチでCPUを比較すると、分かりやすい。
パソコン製品名 | CPU型番(目安) | コア数 | 1コアの処理能力 | BOOST処理能力 | キャッシュ | 消費電力 |
ThinkPad X1 Extreme 15インチ(2018) |
core i7-8750H | 6コア12スレッド | 2.20 GHz | 4.10 GHz | 9M | 45w |
ThinkPad x280 12.5インチ |
core i5-8365U | 4コア8スレッド | 1.70 GHz | 4.10 GHz | 6M | 15w |
MacBook Proでも比較してみます。
パソコン製品名 | CPU型番(目安) | コア数 | 1コアの処理能力 | BOOST処理能力 | キャッシュ | 消費電力 |
Macbook Pro 15インチ(2018) | core i7-8750H | 6コア12スレッド | 2.20 GHz | 4.10 GHz | 9M | 45w |
Macbook Pro 13インチ(2018) | core i5-8259U | 4コア8スレッド | 2.30 GHz | 3.80 GHz | 6M | 28w |
コア数1.5倍、キャッシュも1.5倍、性能格段に上がります。
よりCPU性能を重視するなら、15インチのPCが候補です。画面も広々使えて素晴らしい。
(あ、15インチノートでも廉価版のCPU積んでたり、13インチと同等の性能のCPUの場合もあるのでよく見てね)
トラックやエフェクトがっつり使って曲を作るなら、一般的には15インチノート推奨。 たくさんの楽器(しかも高音質のやつ)を編成して作る曲とか、高級なシンセとか、CPU消費も中々なので。
その分金額や重量も上がって、消費電力も3倍位。その辺の事情で私は13インチ派です。
私の曲作りではソロ楽器の響きを重視するので、そこまで性能求めなくていいのもあります。
ちなみにデスクトップPCだと、ノートPCよりさらにCPU性能高くなるけれど
消費電力がさらに倍になるのと、常に電源プラグを繋ぐという制約が、私には重すぎて却下。
次にメモリについて
次はメモリ。製作時に、どれくらいのデータ量を同時に扱えるか?という部分。メモリ容量で、一度に扱える高品質音源のトラック数、音質の解像度が増えます。
以前4GBのメモリを使ってました。2011年から2019年まで。
私の使ってるLogicの初期音源だと、そこまでメモリを必要としません。 4GBあれば全然余裕に動かせる感じです。
しかし一般的な有料音源(Kontakt音源など)は、要求するメモリが極端に増えます。最低8GB要ります。
将来性も考えると16GB〜。
しかしメモリは後で付け替えができるPCもあるし(後で変更できない場合もある)
最初は8GBとかでも、まぁOKなんじゃないかな>?って思う。わかんないけど。
16GBだと良いのかな? まぁ予算が許すなら。
最後にハードディスクに関して
これは後から容量増設しやすいと思うので、大事だけど購入時の優先度は低め。参考 ⇒ SSD換装とOS再セットアップの手順「ThinkPad X270」
ハードディスクについては、転送速度の早いSSDであれば、まぁ後は容量をどれくらいっていう問題です。 8年前のMacbook Airで128GBだったけど、当時はぜったいこんな使えるわけ無い!って感じだったのが、 年々1ファイルあたりの容量がでかくなっていく時代の流れ、もう今では残り10GBをかつかつで、かつかつ。 だましだまし使ってる。
ゲームデータとか他の大容量のと一緒にしだしたらダメですね。すぐ満杯。
ってことで、DTM専用と切り分けたほうが良いのかな。
まぁ、最低500GBは居るかもしれませんね。1〜2TB(1024GB〜2048GB)あると安心。
音源をストックするにも、最近の有料音源はそうとう容量デカイので。
そんなもん。
という前提のもと、予算やら何やら感やらのトータルバランスで、
2019年度のおすすめDTMノートPCを挙げていきたいと思います。
つづきは次の記事にて。
⇒ ノートパソコンはWindows? Mac OS?(2019年現在の比較)