巡る箱庭✨夜明けの詩
1−5「夜明けの詩:小鳥たちに呼ばれて」
BGM:♪夜明けの小鳥
ちゅんちゅん。
じゅいー。
ちゅん、じゅいー、ちちち♪ーーー鳥さんが唄ってる。
一斉に響き渡るさえずりは、清らかな光となって耳に囁いた。
とんとんとんとん。。。
ーーーーーーこれは何の音? 木とか叩いてる感じ。
時間が動き始めたみたい。
うーん、何か思い出しそうな夢。見てたの何だったけ、ぁふぅ。ねむねむ。
未だ眠いの。もう少しこのまま。。。毛布かぶる。
コンコンコン。。。
「ちゅん、ちゅん!」
鳴き声が近いような? お部屋に入ってきたのかな?
ぼんやりした頭を上げてみれば、その小鳥は直ぐ側の窓辺を突いて呼びかけていた。
「ちゅん! じゅいー。」バサバサばさ...
あ、小鳥さん何処かに飛び立っていった。うーむ、鳥さん目覚まし時計です。
薪の火は、いつの間にか熾になってる。気がつけば毛布が用意されてた。
『寒かったら使いなさい... 私は離れの小屋で休んでるよ』
よく分からないけれど、そういった意味の伝言を感じた。
お陰で凍えずに済んだようです。
ことりままならないので、眠い眼をこすって外に出てみることにする。
扉を開ける...
透き通った冷たい空気が、地肌に響いてくる。
その冷たさを解きほぐすように、夜明けの光が地上全体を照らしている。
山々は澄んだ朝の光に照らされ、一面に見事な、様々な樹氷の輝きに覆われていた。
「銀水晶の森...」
小屋の周辺は小高い丘と樹々で囲まれて、梢の隙間から小鳥たちが様子を伺っている。
そこから見下ろす庭園の区画は、物語の箱庭のような印象だった。植えられた樹やお花の配置が、本で見た模様(文字の形?)に似ていた。。
ちゅんちゅん。じゅいーー。
下のお庭は、地形そのものが雪の結晶を象っているような・・・
区画の真ん中に一つ円、その中心から各方角へ等間隔に伸びた6つの小道の先に、1本ずつ、何らかの木が植えられている。
その植えられた木を真円で取り囲むように、さらに丸い形の畝が6つ。重なり合う。
下のお庭へと続く階段を下り、それぞれの円が描かれる周囲を、注意深く歩き回る。
近くで見たら、雪化粧の隙間から赤い宝石のようなベリーが成っていた。
ベリーにはスペードの形をした小さな葉っぱが付いている。
そこに共存する小さな丸い葉っぱや、やや大きいギザギザの葉っぱなど。
大小様々な葉っぱたちを縁取る氷の雫が、朝日にキラキラと照らされた。
間近に見る植物の姿もまた、宝石のように美しい。
まさに大地そのものが輝きを纏う銀世界だった。
「おやおや、起きていたんだね。こっちに朝ごはんができてるよ」
小屋の向こうからスセンおじいさんの声がした。