純正律の音階比率の一例

(2020.10.08執筆)


譜面に使う基本12音階は、各々の目的に合わせて調律がなされます。 私の調律は、地球の様々な生命のリズムと一緒に音楽を奏でていきたい。という意識を以って、音階の再設定に踏み切りました。
目指すところは、全ての音階が調和的な響きで奏でられることです。

で、初めて各音階の比率を考えるに辺り、まず"360Hz"を基準に設けてみてました。
60分間が3600秒の刻み(1日はそれの24倍で86400秒)つまり、360も1日の天体の周期1/86400Hzと呼応する。。。 さらに360=(2×2×2×3×3×5)という、掛け算の素数がバランス良く整うことから、360の値が中心だと単純な整数比(純正和音)が導きやすい。と考えてのことです。

360Hz基準の調律例

何も知らない所から、自分なりに独自に編んでみた比率。
使ってみて、おおよそ「転調が効く純正律」みたいな感覚でした。
当サイトの制作曲では2020年11月から、このオリジナルの調律比を取り入れています。

音階が1オクターブ上がると、基本的には周波数が2倍。
360Hzを基準を設ける場合、1オクターブ上が720Hzになる。

では360〜720のオクターブ間でどのように音程の推移を配分するか。
自分なりに響き合う音の繋がりを意識して、調律したのがこちらの配列になります。


表の純正律

C  256Hz (32/45) ド
C# 270Hz ( 3/ 4)ド#
D  288Hz ( 4/ 5)レ
D# 300Hz ( 5/ 6)レ#
E  324Hz ( 9/10)ミ
F  337.5Hz(15/16) ファ

F# 360Hz ( 1/ 1) ファ#を中心

G  384Hz (16/15) ソ
G# 405Hz ( 9/ 8)ソ#
A  432Hz ( 6/ 5)ラ
A# 450Hz ( 5/ 4)ラ#
B  480Hz ( 4/ 3)シ


1オクターブ上(×2)
C  512Hz (64/45) 'ド

・・・
ファ#を中心に、まるで比率が表裏の鏡合わせであるかのような調律比になりました。
まさかの規則性? びっくりですね。

しかし9/10と9/8の部分。完全な上下反転ではなく、方向性というか流れが生じてるのが興味深いところです。

裏の純正律

C  253.125Hz (45/64) ド
C# 270Hz ( 3/ 4)ド#
D  288Hz ( 4/ 5)レ
D# 300Hz ( 5/ 6)レ#
E  320Hz ( 8/ 9)ミ
F  337.5Hz(15/16) ファ

F# 360Hz ( 1/ 1) ファ#を中心

G  384Hz (16/15) ソ
G# 400Hz (10/ 9)ソ#
A  432Hz ( 6/ 5)ラ
A# 450Hz ( 5/ 4)ラ#
B  480Hz ( 4/ 3)シ


1オクターブ上(×2)
C  506.25Hz (45/32) 'ド

・・・

なので、上下反転させた2つ目の純正律比と組み合わせると、音楽的な流れ、呼吸するような調律の移り変わりが使えるのではないか?と思い付きます。今回のF#(ファ#)を中心に添えた場合は、E(ミ)とG#(ソ#)音程のチューニングが呼吸するような演奏を心がける。他は固定でOKと思う。

色々試して調律が上記2パターンの比率だと、純正の響きを宿しながら転調も行ったりなど、音楽的な表現がしやすかったのでした。


平均律と純正律の聴き比べ

調律以外は譜面が全く同じ、平均律・純正律のピアノ音源も貼っつけておきます。

360f#...平均律の和音



↑平均律。どの和音も一律の比を保つ。(各音階の存在感が同等である)
おそらくこの時代、一般的に馴染みやすい響きの印象を抱くと思う。

360f#...純正律の和音



↑この譜面に合わせた純正律。
基本和音に透明感があり、音階の組み合わせによって和音の揺らぎが変わっていく。



上記2パターンのハーモニーと比べると、どうでしょう。
聴くと言うか、音の響きかたを肌で感じると。。。どうですか?


音の粒立ち
残る残響
耳の疲れにくさ

そして身体の芯に響くポイント

。。。

12音階では全ての音をカバーしきれないので

調律を続けていると、共鳴し合う倍音の全ての響きを12個の鍵盤に押し込めることは不可能である。ということに気づきます。 今回の調律では、例えば7の倍数を含むHz値を絡めると「12音階」のまとまりが無くなってしまいます。 鍵盤に限りがある以上「すべてを完璧に」などという幻想を諦めるのが近道かもしれません。(今回の調律では拾えなかった音が無数に存在するので)

迷わずに、中心の一音を定めること。

自分がどのような音を奏でたいのか、演奏する目的は? 音階のイメージは?

演奏を続けながら、微妙な違いを味わって、譜面に活かしていくと良いのです。
調律に正解はないし、譜面や、演出する雰囲気によっても最適な調律比は変化するでしょうから。


奏者の立場としては、

ピアノを演奏するとき、音のハーモニーからなる響きを感じ、それに合わせて演奏する意識のほうがはるかに大事。


調律のコラムは、あくまで基本音階の比率をどう振り分けるか。の、見通しを図るものでしか無い。
どの音を活かし、どういったコンセプトを主軸に据えるかで、配列の結果はなかなか、千差万別に変わっていくでしょう。 色々試して遊んでみると良いです。

独自のコード理論が自由に組めます。