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携帯小説✨詠唱の碑文

短編小説「詠唱の碑文」

文字は視覚を通して認識できるものとする。
(言葉は聴覚を通して認識できるものとする)

文字の意味する先は、其れ自体に含まれず
(言葉の意味する先は、其れ自体に含まれず)

詠み取り手の認識で、多種多様に変わりうる。
(聴き取り手の認識で、多種多様に変わりうる)

文字と言葉の領域は同時に存在し
(言葉と文字の領域は別々に存在し)

それぞれを独立して考えたならば
(それぞれを統合して考えたとならば)

そこに一つの次元が別々に転換されるという事
(そこに二つの次元が同じ場所に展開されるという事)

別々の次元は複雑に絡み合い
(それぞれの次元は単純な折り合い)

お互いが因果関係をもって存在している
(何の関係もなく孤立する事だってある)

言葉を文字で置き換えたこの世界は
(言葉を音で置き換えたこの世界は)

行く宛も無く彷徨い続ける事より
(行く先着く先、惑い続ける方が)

何もしない人生があったって
(何もしない人生よりも)

良いんじゃない?
(良いんじゃない?)




。。。
(...)




例えば、遥か遠い地平線の温もり
(例えば、流れ行く命の煌めき)

例えば、広大な砂漠に一輪の花
(例えば、変わりゆく月の満ち欠け)

例えば、遺跡に眠る古えの財宝
(例えば、移り行く時代の面影)

例えば、延々と続く星々の巡り
(例えば、無限に連なる未来へのベクトル)


心裏はいつも
(真理はいつも)

留まり続ける所にある
(流れ続ける事にある)

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