携帯小説✨斜面に正直な街
携帯小説「斜面に正直な街」
♪BGM「望郷の地」を鳴らす
でこぼこの街道の立ち並ぶ。
旅人は目を疑った。建物という建物が全て傾いていたからだ。
本で見た、ピサの斜塔とかよりもイビツ;
どの家々も斜面に垂直に立っているそれ、なぜだか微妙に思えた。
坂だらけの街で、どれもあっちに傾いたりコッチに傾いたり。
しかも平らじゃない、凸凹目立ちすぎ。。
「どうして真っ直ぐ建てないんですか?」
旅人は偶然出会った石工師に尋ねてみた。
「そりゃ、おめえ。此処がそういう場所だからさ。。
地面のあるがままに従う。それがこの土地に対する礼儀ってもんだ。」
なるほど。
が、それだと生活するうえで何かと不安定だと思う。
いや、どうも建物に関する見方から違ったみたいだ。。
単に雨風を凌ぐ役割ともう一つ。
重要な要素が、天井の「釣場」。
直角三角形に組み立てられた大黒柱から、天井が重なり、さらにそこから釣り縄をいくつか吊るす。
そこに、部屋の間取りとなるような、いわゆる床板が吊るされる。。。
「不思議な家ですね」
旅人は言った...