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Timelessberry✨現世の記憶

3−3「禁忌の夢(あめ)」

どうしてだろう?

知られざる調和の詩は、ひとたび永い眠りへと沈んだ。

いつしかその変遷を、聞かざる寓話が塗り替えることとなった。



どうしてなのだろう?

その原因は推測に過ぎないけれど。

もしかしたら、何処かの星が一つ滅びてしまったのかもしれない。

星が一つ滅びたということは、

宇宙と繋がったあらゆる生命のコードが一つ消えてしまうという事。

光の時間差はあれど、一つのほころびは連鎖的に崩壊を招くこともある。

もう既に起こったことならば現実は変えようがないのだ。


其れまで調和を保っていた全体の詞は、

一つの黒点が生まれたことで少しずつ乱れていったのかもしれない。




これは気の遠くなるほど過去の記憶だと伝え聞く。

かつて起こった出来事など、記録を読み解けなければ想像でしか語れないけども。













いつの頃からか世界は、支配と欲望の渦巻く混沌とした時代を生きていた。

人々は安息を奪われ、
平穏や富や名声を求め奪い合い、罵り合い、そして戦ってきた。


人々の生命線は「食・植物」だった。
「食の根源」を支配するという事こそが、人間を支配するということ。
だがそれを望んだところで、一朝一夕で成し得られるわけがない。

そこで、時の支配者は「食」に変わるものとして「金」の絶対価値を編み出した。社会通念に「金」の存在をもたらしたのだ。

金はあらゆる物質的価値に換えられるようになった。しかも「金」の価値は永久に輝き続けることができた。 「金」は蓄えられる富の概念を産んだ。やがて「金」は億万長者の夢を示し、民衆にとって羨望の的となった。
食の時代に無かった、魅惑的な「金」の魔力が少しずつ全世界に浸透していったのだ。

水の惑星における地球は、現象を純粋に映し出す鏡のようなものだから。 「金」の性質も直ぐに染まる・それに向けられる人々の想い、夢、欲望。映し出す。映し出す。金が支配する欲望は、際限がない。あらゆる糧を、あらゆる権威を、あらゆる快楽を求めて。人々は迷走するようになってしまった。


偽りの価値に染められた歪な世界ができあがる。 そんな中で、一人の【人間】が絶対的な力を強烈に望んだ。

すると彼は「金」のもたらす真実を知った。自らがそれを使うのではなく、人々に使わせる事こそが真の活用法だったのだ。 人々その他大勢を「金」の魅力に従属させることができた。あとは「金」の流れを自らの意図で動かせば良いのだ。

自らにとって脅威なる「他の支配層の人間」すら、彼らの心を「金」の魅惑を以て唆し、コントロール下に収めてしまえた。事実上、敵なし。



「金」の魅力を振りかざす事で、面白いほど世界は回る。

「金」を求める人々...

日々の糧と快楽のために!
未来の平穏と安息のために!


長い時を経て、人々は本気で忘れ去ってしまったんだ。それは歪な悪夢であることを。
「金」の概念は、それ自体が支配者の道具にすぎないのだと、後の世に誰が気づけたであろうか?

誰が...
もはや、真実の形が覆い隠されてしまっては...

・・・・・・


生命の記憶を紐解いていくと、少しずつ歴史の全貌が明らかになる

いくつかの真実を開放した瞬間から、世界は「原初の園(エデン)」の片鱗を見せるだろう。



彼は、予感していた。

西暦2012年、天空の星々が再び一直線上に並ぶ時。

忘れられた惑星たちの詩が復活し、世界は本来の姿に立ち返るであろうことを。

星の真実は「記憶」の奥深くに沈めども、決して無くなることはないのだから。




今、手元には「書」が2冊あった。

過去の扉に「炎の記憶」
過ぎ征くは「現世の記憶」




今、ここに記された言葉は、誰かに望まれて描かれたもの。

言葉だけじゃない。全ての存在は望まれて生まれし「詞」を持つ。

宇宙の星々の間には、何らかの形を成したいという想いが絶えず渦巻いている。

この世に存在する全てが、そんな【想い】から形になったものだ。

眠りの中で見る場所も似たようなもの。

夢は、望まれてその情景に生まれてくるの。覚えていてあげて。

ただし、その姿は記憶に留めておくにはコツが居るけれど。

現象と、思考と、感覚が、ごちゃごちゃで繋がりがないから、思考では理解できない。

人は、関連性のないものを理解できないから、

ならば、感覚でありのままを受け入れてしまえばいい。


。。。



原初の夢(あめ)が告げる。水の記憶。

始まりの日、その日は雨が降っていた。


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