1日のサイクルと響き合う太陽の純正律

(2020.12.07執筆)


前回のコラムでは、F#=360Hzを中心とした調律法(転調できる純正律)について触れました、
これは1日の地球のリズム(1/86400Hz)との共鳴に意識を置いてファ#=360Hzに中心を定めたのですが、途中から337.5Hzが中心なのでは?と数曲作って感じるようになりました。(制作中、ファに中心音程をずらすとしっくりきた)。

私たち地球に棲む存在たちは、お日さまの下で1/86400Hzというベース音の中に息づいています。60秒60分24時間...1日のリズムがそうなってる。
1/86400Hzに360Hzを乗せた場合と、337.5Hzを乗せた場合で比べると、面白い発見がありました。

360/86400=1/240=1/2*2*2*3*5

360Hzを1/86400に載せた場合、分母に含まれる素数に3*5が含まれることに鳴ります。 音階は1オクターブ上がるごとに2倍されるだけなので、3*5の分母は永遠に消えることがありません。 純正律のド-シのような、地球の自転周期に対して16/15の比率になるのが360Hzの特徴だと伺えます。

360f#中心のオルゴール曲「箱庭のお茶会」


337.5/86400=1/256=1/2*2*4*4*4

対して337.5Hzを1/86400に載せた場合、分母の比率が2の素数のみで完結する。
ということは、337.5Hzを基準とする音程がオクターブを跨いだとき、どこかで完全に地球の1日の周期(1/86400Hz)と一致する箇所が出てくることになる。

337.5f中心のオルゴール曲「箱庭のお茶会」




どうでしょう。体全体で響きの違いを体感してみてください。
繰り返し再生で聴いてて、心地よく聞こえる方は。。。

実際にその音を意識することは難解であると思いますが、337.5Hzを基準に調律を施した場合の効能。具体的には、全ての音がクリアに鮮明に聞こえるようになった!という変化を私は体感しました。感慨にふける。コレでようやく地球上の皆といっしょにハーモニーを奏でられるような気がした。

従来の360F#のHzを15/16してキーを一つ下げた形に割り当て直すと、337.5Hz=ファを中心とする太陽の純正律に生まれ変わります!

337.5A#-F 太陽の純正律・裏

C  253.125Hz(3*3*3*3*5*5)/8...従来の360f#の比率から-20セント
C# 270Hz(2*3*3*3*5)
D  281.25Hz(3*3*5*5*5)/4...-41セント
D# 300Hz(2*2*3*5*5)
E  316.40625Hz(3*3*3*3*5*5*5)/32...-20セント

F  337.5Hz(3*3*3*5*5)/2...ファを中心

F# 360Hz(2*4*3*3*5)
G  375Hz(3*5*5*5)...-41セント
G# 405Hz(3*3*3*3*5)
A  421.875Hz(3*3*3*5*5*5)/8...-41セント
A# 450Hz(2*3*3*5*5)
B  480Hz(2*4*4*3*5)


1オクターブ上(×2)

C  506.25Hz(3*3*3*3*5*5)/4
C# 540Hz(2*3*3*3*5)*2
D  562.5Hz(3*3*5*5*5)/2
D# 600Hz(2*2*3*5*5)*2
E  632.8125Hz(3*3*3*3*5*5*5)/16

F  675Hz(3*3*3*5*5)...ファを中心

F# 720Hz(2*4*3*3*5)*2
G  750Hz(3*5*5*5)*2
G# 810Hz(3*3*3*3*5)*2
A  843.75Hz(3*3*3*5*5*5)/4
A# 900Hz(2*3*3*5*5)*2
B  960Hz(2*4*4*3*5)*2

〜続く

裏・純正律の比率

これを単純な整数比で置き換えた音階の比率がこちらです。

B(+-6) ...32/45...仲間はずれの音になる

C(-5度) ...3/4
C#(-4度) ...4/5
D(-3度) ...5/6
D#(-2度) ...8/9
E(-1度) ...15/16

F(0度) ...1/1...中心音階を此処とする場合

F#(1度) ...16/15
G(2度) ...10/9
G#(3度) ...6/5
A(4度) ...5/4
A#(5度) ...4/3

(あ、10/9が新たに加わりましたね)


最も綺麗に響き合うコード

  • ド・ファ・ラ(3:4:5)
  • ファ・ラ#・レ(3:4:5)
  • ソ#・ド#・ファ(3:4:5)
  • ラ#・レ#・ソ(3:4:5)
  • ド#・ファ#・ラ#(3:4:5)
  • ファ#・シ・レ#(3:4:5)

追加の基本2和音

  • ラ・レ(3:4)
  • ミ・ラ(3:4)
  • レ・ソ(3:4)
  • ド・ミ(4:5)
  • ソ#・ド(4:5)


ファの純正和音が3種類全て揃いつつ、ラ#の純正和音も3種類揃う。
ラ#-ファの軸で響き合う「太陽の純正律・裏」


中心が360Hz⇒337.5Hzに変わったことで、5の素数が増えました。
中心音程がマイナス側に移動する場合、音程によって-41セント(*125/128)の調整が必要となった。
従来は計算のしやすさから2の素数を多く組み込んでいたのが、今回の調整でうまくバランスとれたかな。

337.5F−C 太陽の純正律・表

C  253.125Hz(3*3*3*3*5*5)/8
C# 270Hz(2*3*3*3*5)
D  281.25Hz(3*3*5*5*5)/4
D# 303.75Hz(3*3*3*3*3*5)/4...+21セント
E  316.40625Hz(3*3*3*3*5*5*5)/32

F  337.5Hz(3*3*3*5*5)/2...ファを中心

F# 360Hz(2*4*3*3*5)
G  379.6875Hz(3*3*3*3*3*5*5)/16...+21セント
G# 405Hz(3*3*3*3*5)
A  421.875Hz(3*3*3*5*5*5)/8
A# 450Hz(2*3*3*5*5)
B  474.609375Hz(3*3*3*3*3*5*5*5)/64...-20セント*(25*81)/(128*16)


1オクターブ上(×2)

C  506.25Hz(3*3*3*3*5*5)/4
C# 540Hz(2*3*3*3*5)*2
D  562.5Hz(3*3*5*5*5)/2
D# 607.5Hz(3*3*3*3*3*5)/2...+21セント
E  632.8125Hz(3*3*3*3*5*5*5)/16

F  675Hz(3*3*3*5*5)...ファを中心

F# 720Hz(2*4*3*3*5)*2
G  759.375Hz(3*3*3*3*3*5*5)/8...+21セント
G# 810Hz(3*3*3*3*5)*2
A  843.75Hz(3*3*3*5*5*5)/4
A# 900Hz(2*3*3*5*5)*2
B  949.21875Hz(3*3*3*3*3*5*5*5)/32...-20セント*(25*81)/(128*16)

〜続く

表・純正律の比率

これを単純な整数比で置き換えた音階の比率がこちらです。

B(+-6) ...45/64...仲間はずれの音になる

C(-5度) ...3/4
C#(-4度) ...4/5
D(-3度) ...5/6
D#(-2度) ...9/10
E(-1度) ...15/16

F(0度) ...1/1...中心音階を此処とする場合

F#(1度) ...16/15
G(2度) ...9/8
G#(3度) ...6/5
A(4度) ...5/4
A#(5度) ...4/3

あ、今度は10/9と8/9が入れ替わりました。
そして反対音程「B」の比率が、分子分母逆転しました。なるほど。。。


最も綺麗に響き合うコード

  • ソ#・ド#・ファ(3:4:5)
  • ファ・ラ#・レ(3:4:5)
  • ド・ファ・ラ(3:4:5)
  • ソ・ド・ミ(3:4:5)
  • レ#・ソ#・ド(3:4:5)
  • ド#・ファ#・ラ#(3:4:5)

追加の基本2和音

  • ラ・レ(3:4)
  • ミ・ラ(3:4)
  • シ・ミ(3:4)
  • ソ・シ(4:5)
  • レ#・ソ(4:5)


こちらファ-ラ#軸から対となるファ-ドを軸とした「太陽の純正律・表」です。
同じファを中心とする調律でも、どちら側に響かせるかで調律方法が変わってくる一例。

表側は裏側に対して+21セント(*81/80)...2と5の素数を打ち消して3の素数を組み込む使いどころが鍵。

まとめ

太陽の純正律は、地球の1日の鼓動(1/86400Hz)をベースに、地球上の様々な存在と響き合えるような調律法になりました。 そのため1/86400Hzとオクターブ越しに一致する337.5Hz(675Hz)を中心に据えます。1日24時間を基準とする限りは。

今回の比率は、f=337.5Hzとしたときに音の響きが良くなると感じた基本形2つを取り上げました。 ちなみに他の軸も意識に入れると他にもいい感じの比率があって、転調に合わせた様々な展開型を作ることができました。
(暇が在れば次回以降にメモを残そうかと思ってます。)

独自調律について

とはいえ、音階を数字にすると情緒がなくなりますね。。。
たぶんこういった結果だけの数字より、調律を行う目的を明確にする方が大事な気がした。

目的によって最適解が変わってくるから。


私は、自分自身の生き方に沿う調律法、自然の音と共に在れる曲作りを目指して、まずは1日の太陽のリズム...今回の形に辿り着きました。
皆さんにとっては、もしかしたら別の形が最適かもしれない。そういうのは自分で築き上げたほうが確実。 自身の目的に適った独自調律は良いものです。興味が在れば、れっつとらい。応援します。