Kontakt on Linux(LinVstを使って起動する)

(2019.12.05執筆)


前準備 ⇒ Kontakt on Linux インストール方法まとめ

前回のコラムで、Kontakt(筆者の場合はKomplete 12 Ultimate)のインストールが無事にできました。 ここからは、実際にLinuxのDAW(Bitwig Studio)で、インストールしたKontakt音源を起動し、音を鳴らすまでの手順を追っていきます。

使用環境

  • OS: Linux mint Cinnamon 19.2
  • Wine: 4.0.3(安定のstable版)
  • Kontakt6.2(Komplete 12 Ultimate)
  • LinVst2.8(Windows用のVSTプラグインを、Linux用の.isoにマッピングするアプリ)


LinVstの使い方については、こちらの記事を参考にしました。

LinuxでWavesプラグインを動かす

LinVSTのセットアップ

LinVstとは、Windows用のVSTプラグインを、Linux上で動かすために必要となるアプリです。
同じような系統のソフトにAirwaveなどがあります。何を選ぶは好みとか直感次第だと思います。筆者はなんとなくLinVstを選びました。

まず必要なファイルのDL ⇒ LinVstのリリースページ


Debian-Stretch版.zipをダウンロードしてみました。
これをLinux上で展開すると「embedded」フォルダが確認できます。
中に入ってある「lin-vst-server*」と名付けられた4つほどのファイルを、usr/binへ移動。端末からコマンドで移動させます。
sudo cp LinVst-version/embedded/lin-vst-server* /usr/bin/

linvst

ふむ。ちょっと端末操作がなれなくて手こずった。
たぶん、ディレクトリ名を上手に指定してあげないとフォルダが見つかりません。
自信ない場合は、embedded/フォルダだけDesktopに移動して、このようにすればいいと思います。
cd "${HOME}/Desktop"
sudo cp embedded/lin-vst-server* /usr/bin/

usr/bin/の中身を確認して、lin-vst-serverの4つのファイルが入ってれば成功です。

linvst.soファイルをコピーして、dllと同じ名前に

後は、embedded/フォルダの中にあるlinvst.soというファイルをコピーして、プラグインの場所に移動させてあげます。 移動した.soファイルを、プラグイン名.dllと同じネーミングにして、準備完了。

soファイルマッピング

Linux側は.soにアクセスすることで、Windows用のVSTプラグインを読み込める形になりました。
.dllの数が多い場合は、LinVstのフォルダ内にコンバーターも同梱されてます。活用してみましょう。

DAWからプラグインを読み込む

では仕上げに、DAWソフトのBitwig StudioからKontakt音源を読み込んでみようと思います。

DAWソフトの設定画面を探してみると、プラグインの参照場所を追記する項目があります。 先ほどのプラグインの場所.soファイルを移動したフォルダを指定してあげましょう。

bitwig設定1


すると自動的にプラグインが読み込まれていきます。最初は途中でエラーを返すかもしれませんが、構わずスキップします。

bitwig設定2


アプリケーションエラーが発生した場合は、端末(ターミナル)を開いて設定を追記します。
エラーログを確認して、必要なdllファイルをwinetricks経由でネイティブに設定します。

エラーログへの対処3

例えば、エラーログに「CONCRT140.dll」の確認が取れないと出た場合、端末で以下のコマンドを入力すればOK。
winetricks concrt140=native

同様のエラーが起こったので、端末にて以下のコマンド群を追記しました。
winetricks msvcp140=native
winetricks msvcr120=native

この操作は、winecfg⇒ライブラリから各dllをWinネイティブ版に設定するのと、ほぼ同様です。再現度はwinetricks経由の方が安定かも。


プラグイン一覧から無事にKontaktが起動できたら成功です!
尚、=nativeの何れかの操作によってNativeAccessの方が起動できなくなるので、音源の更新時など必要に応じてオンオフ切り替えができるよう心構えておいてください。

Kontakt音源から音が鳴るか?

起動できたということは、システム側の設定はOKです。おつかれさまでした!

後は音が鳴るかの確認。初のKontakt音源なので色々探りながら。
Linuxでのオーディオ環境の見直しなど。

Linuxオーディオ環境「JACKサウンドサーバ」の導入

GUIキーボード上では、きちんと鳴りました。
しかしMIDIトラックのノートは最初認識しなかった。
この場合は、Kontakt設定の問題。どのポートを使うかの設定。

kontakt設定

Kontakt上部の歯車の設定項目を開いて、Engine⇒Send MIDI項目に"omni"をデフォルトに設定。そして再度音源をリロード。
すると、1つ1つのトラックに割り当てたKontakt音源が、きちんとトラック内のMIDIノートを読み込んでくれるようです。

無事に音が鳴った! よかったです。おめでとう!

これまで参考にした過去の記事や、試してみたことなど

今回は必ずしも無くて大丈夫でしたが、色々試して経験したことなど。

2018年9月:WineでDrumMic'a!(KONTAKT Player 5)を動かしてみた
2018年11月:wineでKontakt 6 Playerを動作させた
2018年1月:Wine環境にWaves CentralからWavesプラグインをインストールする
2019年1月追記:Wine環境でWavesプラグインを動作できるようになった。


VSTを動かすこと、音源のインストール、NIのNativeAccess、Kontaktに関する部分に着目。
以上の情報より、Linux Wine環境で、Komplete(というかKontakt)を動かす要点をまとめる。

  • wineに環境変数をいくつか追記する
  • winetricks msvcp140=native