リバーブ内臓のIRサンプルをWAVで収録する
(2022.02.15執筆)
前回は出音サンプルの扱いについて解説しました。今回はIRリバーブ編です。
この章の目的は、他OSでしか動かないリバーブ効果をLinuxのDAW上でも活用できるようにすること。
Linuxは対応するリバーブプラグインが少ないのが難です。 しかし他OS対応のリバーブに内蔵されている空間残響のIRサンプルさえ取り出せれば、Linux上でも例えばREAPER付属のリバーブに読み込ませることでエフェクトをそのまま活用できるようになります。
通常はOS未対応のリバーブプラグインも、そのエフェクトをIRサンプルとして収録すれば制限なく使えるようになるので、手順を残しておきます。
なお、IRサンプルがどういうものかはこちらをご参照ください。
参考 ⇒ 空間とサウンドの関係:Convolution Reverb用のインパルスレスポンスの収集
IRサンプルの収録手順
原理は単純です。全ての周波数帯が均等な「ホワイトノイズ」を原音に使い、IRリバーブに通します。Dryを0%、Wetを100%にして、原音を完全にリバーブ効果で上塗りして収録すればOK。WAV形式で書き出せば目的達成です。
まず、ホワイトノイズを生成する所からですね。
- 何らかのプラグイン(例:Audacity)を使ってホワイトノイズを生成する
- 生成したホワイトノイズをDAWに読み込み、瞬間的に鳴るよう調整する
- ホワイトノイズのトラックに、収録したいリバーブ効果のプラグインを挿す
- リバーブのDryを0%、Wetを100%にする
- そのままレンダリングして24bit以上のWAVファイルで書き出す
このようにすれば、あらゆるリバーブ効果をWAV形式で保管できるようになります。
IRリバーブのプラグインに限らず、そこにディレイとかアルゴリズムリバーブを交えて収録してもいい。
リバーブコレクション色々できるんで応用無限大です。
手順1:Audacityなどでホワイトノイズを生成する
ホワイトノイズを生成するプラグイン持ってますか? わからん。。とりあえず無料で誰でもノイズ作れるのはAudacityです。持ってない人は使ってみると良いです。 これのエフェクトとかジェネレーターとか何らかのメニューからノイズ挿入のコマンドが選べます。やってみましょう。
で、ノイズ生成。選ぶのはホワイトノイズ。
全ての周波数帯がまんべんなく含まれる、ザーーーーって機械的なノイズ音を確認できましたか?
この音声を保存。目的のIRサンプルは大抵24bitなので、WAV形式で24bitの書き出しがよろしいと思います。再生時間は0.1秒もあれば十分です。
手順2:ホワイトノイズをDAWに読み込み、瞬間的に鳴るよう調整
方法は色々在ると思う。今回はサンプラー音源内臓のIRを取り出すので、同じくサンプラープラグイン上でホワイトノイズを再生できるようにしてみた。どうするかは上と下の画像でだいたい伝わると思います。経験者なら。
Ampの設定は、色々試してみてください。再生間隔は一応これくらいの余裕をもたせた。
100Hz以下の音域は10ミリ秒以上の再生が必要、あまりに短すぎると低音域が収録できんだろうとの判断です。
Ampエンベローブの波形も収録に影響すると思います。お好みの波形でどうぞ
手順3:リバーブプラグインを挿して、Dryを0%、Wetを100%にする
今回の場合、リバーブエフェクトは再生トラックに挿す。
注意点はインサートに挿すこと。Sendに挿すと原音が交じるので、Insertでリバーブだ。
Insertに挿したらDryとWetが設定できるので、Dryを0%、Wetを100%にします。
これで全周波数帯の原音が、ほぼIRサンプルの響きそのもので再生されます。
手順4:レンダリングして24bit以上のWAVファイルで書き出す
リバーブは残響の細かい音を再現するものなので、少なくとも24bit以上の音質が望ましいと思います。なるだけ音量メーターいっぱいにして、32bit.floatとかで収録する? この辺りはお好みで。
使用環境まとめ
- DAW: REAPER 6.46↑
- Kontact6.2
- Audacity
収録したIRサンプルの使い方
収録したIRサンプルは、REAPER上のReaverbプラグインから読み込むことで再現されるぞ!
色々設定を弄ったりIRファイルを差し替えたり組み合わせたり、複数を間隔開けて重ねたりして、色々試すと良きです。
よくわからんリバーブ設定が、感覚的につかめてくると思います!
以上です(' '*)