LinuxでDTMを始めるメリット・デメリット

(2020.11.16執筆)


新windowsPCにLinuxを導入して。ようやくLinuxでのDTM環境が満足の仕上がりになりました。
MIDIキーボードも普通に認識。Linux?の何もわからない状況から約1年、やっと人並みの環境となった経緯に、

果たしてそれだけの時間を割く価値が在るのか?
普通のOSにDAWと音源を揃えるだけで充分ではないのか?

という疑問が付きないので、まずLinuxでのDTMがどういうものか、参考メモを残したいと思います。

Linux mint Xfce版

LinuxDTMの乗り越えるべきポイント

悩ましいデメリットと引き換えに、得られる恩恵が如何ほどがご確認ください。

Linuxにするデメリット

まずデメリットから。大半のDTMerにとって強烈な制約となる。一般的におすすめされない理由を述べます。
DTMは、音源やエフェクトなど様々なプラグインを組み合わせて作品を作っていきますが、その「音源」や「エフェクト」といったプラグイン製品の数々が、多くの場合WindowsかMacのみのサポートになります。

例えば、DTMに必須とされる標準サンプラー「Kontakt」
これ、Linuxで動かすには余計に1手間も2手間もかかる。

参考記事 ⇒ Kontakt on Linux インストール方法まとめ


この、標準のソフトを動かせるようにすることが、最初まぁまぁのハードルです。
初心者にとって何も分からないところからが大変すぎるので、ここで参考メモを残しています。
当時はLinuxに関する情報もほとんどなく、海外のソースから調べたり試行錯誤の時間を要しました。

他にもUSB外付けのiLok認証が通じないなど、全く動かないプラグインもある。
これに該当するVIENNA音源などをLinuxで使いたい場合、技術的には地道にWin環境でのWAV収録が必要になったり等。大きな制約を負います。


果たして?DTMは万全に機能するのか???? 疑心や不安と向き合いながら、それでも進むしか無い。

動かないプラグインは最初に把握しといて、切り捨てる他無い。まぁDTMは要らないプラグインが大半なので選り分けが楽になりますね。
最終的には「煩わしいOSの制約」から解放され、WindowsやMacOS以上にパフォーマンスが良くなります。

Linux + WineHQで動作確認済みのプラグイン

  • Kontakt6
  • Sforzando
  • UVI Workstation
  • WAVES
  • SWAM Violin
  • 各種VST音源単体


だいたいのプラグインは、WineHQ + LinVSTを通じて動きます。

Linuxで動作できないプラグイン(2021年、執筆時点)

  • VIENNA製品
  • Cubase関連製品
  • Breeze2 他


動作確認で引っかかりやすいのが、アカウント認証。例えば物理的なUSBのiLok認証は無理。
この認証プログラムが動作しないメーカーは、選択肢から除外されます。

Linuxでのメリット

一方で余り在るメリットは、OSの自由度、動作コストの軽さ。お金のかからなさ。でしょう。Windowsのように度々更新に悩まされることはありませんし。高額なMacOSに依存する必要もない。Linuxそのものは無駄のない非常に洗練されたOSです。

WindowsパソコンにLinux OS mintをインストールしよう


DTM製作時の消費電力が5W前後...モバイルソーラーバッテリーのみで賄えてしまう。 この省電性が私自身の次世代生活モデルによく馴染みます。


モバイルソーラー25Wの自立型PC + 省電力設定まとめ

Linuxで構築した場合、オフグリッドの制作スタイルも現実的になりえます。



また、パソコンの動きが非常に軽快です。


(DAWはREAPER、音源はSFZファイルで)

電源ONから数えて、システムの起動、DAWの立ち上がり、10トラック分のオーケストラ音源。。。などを使ったプロジェクトを開くまで1分ちょっとくらい。

CPUは0.9GHz(フル稼働2.7GHz)✕2コア4スレッド、SSDストレージ2TBで、メモリ消費は2.2GBほど。
だいたい2010年度くらいのノートPC性能に抑えても、充分すぎるほど快適に動かせる状況です。

そのぶん譜面の打ち込みも楽に進みます。ものすごく。楽です。。。


ここまで持ってくるのに、中には既存の音源をバラして一から築き上げなければならないケースもありました(たいてはそのまま動きます)が、音源の持ち味を既成版以上に、自分に合った形で引き出せるようになりますね。

自分自身の技術向上も素晴らしい。システムを組み上げる経験、それは音源を一から制作するプロセスにも似ていて、音声データの内部構造を数値として認識することができるならば、後のMix作業にまで応用できるし、耳で聴いてもジャストの感覚を身につけられる。
それにLinuxで環境が構築できると、後からOSを替えても同じように環境構築できるはずです。

OSやプラグイン・各製品への依存が消え去る。とにかく自由度が上がります。 使い慣れたWindowsやMacが手放せない、特定のDAWを手放せない、なんてことは無くなる。OSにもプラグインにも縛られる必要はまったくない。

この点が将来的に、ものすっごいメリット。後の財産に繋がる。
特に学生さんなど下積み時代に、今だからこそ挑戦してみて欲しい、という思いも在ります。
働きながらだったり、家庭をもった後だと、他に優先すべきことがあったり、心身に余裕をとれないと思うので。


私がLinuxのDTM環境を作るのに掛けた時間は1年。うまく行くかどうかの保証もない。
それでも挑戦されてみたい方居ましたら、より短期間で確実に進められるよう、応援の意を込めてコラムを描き残しておこうと思います。