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巡る箱庭✨少女エリス

2−4「少女エリス」

その日は静かな雨の日だった。
礼拝に訪れる人々は、殆ど居なかった。

だから一際目立っていた。
女の子が一人、傘もささずに教会前の入口に突っ立っていたのを。

「お前、そんな所で何して?」


雨に濡れ、無言で微動だにしない彼女の表情からは、感情がまるで感じられない。
その意味する所を、カイリは知っていたような気がした。。
少女への第一声、このときカイリは9歳になっていた。

「いったい何があったの...?」


尋ねても、彼女は口を開くことはなかった。だが、このまま放置するのは心許ない。親と逸れてしまったのだろうか? カイリは修道院の大人に撮り合って、素性が分かるまで彼女を施設に迎えてもらうようお願いすることにした。

修道女の大人を前にしても、その女の子は表情をピクリとも動かさなかった。
代わりに、簡素な首飾りに括られた石(...宝石のたぐいではなく、何処にでもあるような石ころ)を、ぎゅっと握りしめていた。大切なお守りか何かだろうか?

修道院に務める彼女はその様子を一瞥し、その女の子の身に何かの異変を感じ取っていた。


少し考えた後「上には報告しておくから、今はあなたが付き添って上げなさい」...と、カイリに一任。
小さな部屋の一角(今は物置として使われている)に案内され、そこで何か話してみるよう勧められた。


見知らぬ女の子と二人きりの、殺伐とした小さな部屋。
カイリは、黙っていた。彼女も黙っていた。
何だろう、カイリは、とても可哀想な、境遇の子なんだと感じた。


カイリは目の前の少女に対し、明くる日の自分と重ねていた。
信じてた母親の存在が遠くに行ってしまい、落胆に暮れていた、あの日の記憶。
何もない、何の表情の動きもない、瞳だけが哀しさを露わに物語っている。

窓から差し込む光は途絶え、宵に沈む頃合いだった。


「お前...そんな顔するなよ。こっちまで哀しくなるだろ?」


無表情のまま、彼女は何の反応も示さない。


「俺たちはみんな親を失くしてる。哀しいのはお前だけじゃない。その、最初は戸惑うかもしれないけど、此処の人はみんな良くしてくれる、大丈夫だ...」


ニコっと、カイリは作り笑顔を見せる。
くしゃくしゃになった彼女の髪を優しく梳いた。


彼女、幼い彼女は何を想ったのか...


「あなたたちも、哀しいの?」


疑問に見開いた眼で、カイリを見つめた。
吸い込まれるような、澄んだ瞳だった。さっきまで泣いていたのが嘘のように。。

窓辺から赤い月が照らす。雲隠れの満月。 彼女の眼差しが、胸の奥に染み渡る。
そして...
彼女は寄り添い、カイリの手を優しく、両の手で包み込んだ。


「大丈夫、私は平気...」


二人の抱く哀しみが、夕闇の最中に解き放たれていくかのようだった。


幼い少女
心を開く(少女は石を持つ、肉親との繋がりを持つもの。秘密の宝物)
少女の元に迎えに来る(あなたにこれを持っていてほしいの、石の宝物)
迎えは実は違う、親じゃない。
売り飛ばされていた
教会の責任者に賄賂。
カイリ発狂(全て滅んでしまえ)
陰謀者(これで娘を取り戻せますよ?)古の秘宝が埋め込まれた剣
怒りの衝動を持って館に乗り込み皆殺し
館の主、娘を人質に。
惨劇
教会にて罪に問われる
悪魔との契約、覚醒
超越者として、世界の支配者の一員に。

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【現在の章】第二章「炎の記憶」
1話