♪BGMを止める

巡る箱庭✨自らの内に宿るもの

2−4「自らの内に宿るもの」

「私を見ているのですか?」


記憶の中のアリシアは、中空に言を解き放った。
いったい誰に向かって?? まさかの答えは一つしかない...


「ここは様々な思念が交錯する場所ですから、何者かが紛れ込んでも不思議ではないわけです、敢えて目的は尋ねません。ですが、あなたに私を解き明かせるかしら?」

彼女は凛とした声で告げる。


「私の名はアリシア。いくらか石詠みに通ずる身の上。私の思念は既に感じてることでしょう。ですが、真の私はあなたと交わることはない。私の生きた時間は過ぎ去りました、故に私はアリシアではないのです。あなたが見ている私は、私の真ではない。」


まさか。記録上の人物から、急に話しかけられるなんて在り得るのか? 空耳でも幻聴でもない、はっきりとした「声」で尋ねられている。 意識が、呼応するように言葉を返した。


『それならば、あなたは何者なんですか??』


「そうね。私が存在しないはずのあなたの内に、こうして話していられるのは。
 まぁいいわ、ちょっぴり境界を外させてもらいましょう。」


彼女が指先で光の扉を描いたが瞬間、世界の境界は破られた。
熱が、星屑の炎の熱気が、自分と一体になった感覚だ。

自身の内に燃える火よ。


「あなたの感じる火は、私の内に燃えるもの」
『私の感じる火は、あなたの内に燃えるもの』

「私の感じる熱は、あなたが内に灯すもの」
『あなたの感じる熱は、私が内に灯すもの」

「あなたの記憶の残像は、私の内に宿るもの」
『私の記憶の残像は、あなたの内に宿るもの』

「故に私は...」
『故にあなたは...』

「『マーリユイト(アリシア)』」

次のページへ
【現在の章】第二章「炎の記憶」
1話 2話