巡る箱庭✨丘の上の食卓

1−7「丘の上の食卓:穏やかな朝の始まり

まったりした一日の始まり。

「ここが食堂だ、さぁ入った入った!」


一つ上の丘、大きな樹の傍にある八角形の建物に、スセンの案内で招かれた。 入り口のすぐ横に、石窯の薪が焚べられており、煙突が家の内側に続いて、屋根の方に突き抜け、煙がもくもく。

じゅいー。


ーーーーーー鳥さんの鳴き声のように、食堂の扉が開いた。。
中に入ると、エプロンを付けた女の人がご飯の支度をしている。
何とも美味しそうな匂いが立ち込めていた。


「いらっしゃい。昨夜のお客さんかい?」
「この子がそう。えーとマーリユイト、まぁ座っておくれ。後ほど自己紹介と行こう」
「...マーリユイトです。昨晩からお世話になってます」


台所から、40代くらいの元気な女の人が迎えてくれた。軽く挨拶をする。 小屋に寝泊まりさせてもらい、その上でご飯の用意まで、何とも恐縮する感じ。


「ユイくんね。昨日からお腹すいたんじゃないの? この人ったら、夜通し放ったらかしにしちゃってねぇ」


ユイくんとな...?!聞き慣れない名前にちょっとびっくり。


「儂なりの心遣いだよ。それよりも『ユイ』くんか。今後そう呼ばせてもらおうかな」


親しみやすそうに笑みを浮かべたスセン。どうやら「ユイ」という呼び名で定着しそう。
記憶に授かった正式な名前よりも、今の場所柄に合った響きの方が馴染むのかも?

こくり。と、ユイは相槌を打つ。


食堂の中は、新鮮な木の香りに包まれた八角形の木造で、室内なのに驚くほど開放的な空間だった。 朝日が、大きく開け放たれた窓から差し込んできて、ゆらゆらと葉っぱの陰を揺らしている。。

まどろむような日差しと温かさに、冬の冷たさすら心地よく感じる。 耳にはリズミカルな包丁の音、暖炉では薪の火がぐつぐつと何かを温めていた。

小鳥のさえずり声、今日のご飯を心待ちにしているような、何作ってるのかなぁ。楽しみになってくる。


「これはハーブのお茶に...


ーーーーーーご飯にお味噌汁に」


「この粒粒は、一体!??」


「おや、珍しいのかい?
 それは郷土に昔から伝わる穀物を炊き合わせたものだよ。
 こっちは蒸した豆をすり潰して塩と糀で熟成させたものを、キノコの出汁で梳いて...

 おっと、それは木の実。アーモンドにどんぐり。
 ん? どんぐりが気に入ったかね。。。」


どんぐりの実は、樹の重厚な味わい。殻を剥いて、夢中で食べました。


「美味しかった、ごちそうさまでした。」
「もういいのかい? 昨日から何も食べておらんかったろうに」


「あんまり食べなくても平気みたい。
 それにここの空気を頂くだけで元気になれますし。

 今は...ちょっとこの辺りを散策してみたいんです」



「昨夜は、良く眠れたのかな?」


「ユイくん慣れないの大変だったでしょう?
 スセンったら、何も言わずに置いてきぼりにするんだからw」


「ふん! ちょびっとしたイタヅラ心じゃww」


ふぉっyふぉふぉふぉふぉ。とか笑ってる。緊張も解けてきた。


「ぐっすり眠れましたよ、お部屋も温かくしてくれて、ありがとうです」


「そうか何よりだ。では、一緒に探索と行こうかの」


「楽しんできてね。この辺りは、スセンが若い頃から移り住んで、お庭も果樹園もお花も一緒に育てたの。どれも立派に育って素敵よ〜。」


「枯らしたのも数しれんがなwww」


せっかくの褒め言葉を台無しにするスセンさんと、笑ってスルーするエミリさん。温かで微笑ましい感じです。


スセンの案内で、散策の扉が開かれました。

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