囲いの扉

鳥かご。囲いの扉。
それは家、私たちの家みたいな。

私たちの居た空間は、かつて「無限」に続いていた
人々は、そこに囲いを作り、無限との境界線を引いた。
有限の柵の中で、「未知」という不安を追い出し、自分だけの空間を持った。

しかし、無限という可能性を絶たれた囲いの中では、その中でしか生きることを許されない。
鳥かごに囚われた状態で、何も変わらない、何も変えられない退屈な日々を送る。
新しい風も吹かず、ただ、その中でのみ産まれ、生き、死ぬのだ。

かごの中の鳥。

 
大きな一つの街に境界線、ガラス張りの壁で外界との出入りを絶たれ、その先は何もない。
例えるなら、人間の作った文明、住処とは、そんな感じ。会社と家。囲いの中に居る。

限られた物質の中で、その現象を固定化したものだけを、時間の止まった美だけを、永遠の輝きとして、そこに閉じ込めようとした。
そこでは、死という醜い存在を許さない。時間の流れを、老いというものを、囲いの外にある未知の領域を、変わることを、本当の自由を、あれは、あれは望まないんだ。

 
かつての人間の一部が、自然界の創造物に対し、人間だけの力でそれ以上のモノを作れるはずだと挑戦し続けた。
自然と敵対したのは、自然の美に対する嫉妬からだというのも、或いは、万物との繋がりを絶たれたからだというのも。
あれはかつての楽園を自ら塗りつぶした後、全く違う方向性から、新たな楽園を築こうと奮闘した。
結果、先代たちの楽園を勝手に分解し、それを自分勝手に改悪して、自らジリ貧になってしまった。

 
無限への扉を閉ざした時点で。
自然と敵対し、内に閉じ困った時点で、
その運命は決まっていたも同然だった。

囲い込みを、囲いの扉をそろそろ開放するかね。
有限の世界は、これ以上創造しようがない。
どんなに素晴らしいモノも、固定化した時点で、
それ以上の創造物が生まれる可能性をすべて否定してしまう。

万物に、生と死を。等しく分け与えようか。
 
 
死するもの、かつての作品は、記憶となって無限の世界に灯り、いつでも書庫を開けることで、取り出すことが出来るものだから。
もういいんだよ。仮初の閉ざされた世界は、今にも死にたがっている。誰もの心の奥底から消えて無くなりたいと、苦しそうに、今。ほら。

 

簡単。囲いの扉を開けるだけでいいんだ。
 
 
家、ドアあけっぱなし
庭、広々、木々が周りを守護する。
天井、星。いっぱい


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