樫の木のバトン

くるくるくるくる

樫の木は、そよ風をまとって動く。

くるくるくるくる

あれは杉の木かもしれない。

 
くるくるくるくる

梢の1本を空に掲げ、木々にそよぐ風を感じる。

そこから一線を右腕にまとう。螺旋状の連なり。

 
くるくるくるくる

木々は歌う、梢に舞う。そよ風のリズムと共に舞う

  
くるくるくるくる

歌声はかすかに響き、そよ風と共に梢を鳴らす

木々の脈動が梢と風に、空高く飛ぶ鳥に

地を這う狼に、虫達に、そして静かにそびえ立つ森の主に

 

舞い踊るとき、舞い上がるとき

足かせは解かれ、とどまることを知らず

まわれまわれ、くるくるまわれ

足あとがひとつ、足あとがふたつ。

まわるまわる、境界線。

私の四肢は、風になる

 

ながれてくる、鳥の記憶

風に乗ってどこまでもとんでいく。

ずっと向こう、運び屋は風、風を結ぶは木々。木々に連なる梢

 
そしてこの手には、小さな命が輝きを放つ。

風たちの舞。


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